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五月飾りを見に旧安田楠雄邸を訪れる

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千駄木三丁目から五丁目辺りは我輩がよく訪れる谷根千とは少しイメージが異なり、一軒の宅地が広いお屋敷が目立つエリアでR。本日訪れたのは築90年ながらほぼ原型を保っている旧家。
「旧安田楠雄邸」毎週水曜、土曜日の二日間のみ公開
文京区千駄木5-20-18 03.3822.2699(公開日のみ)03.6303.1110(日本ナショナルトラスト)
公開時間 10:30〜16:00(入館は15:00まで→邸内説明が40分程度かかるため)
本日は火曜日で本来なら門は閉まっているのだが、五月飾りのお披露目という事で5月6日まで公開しているので行ってみたわけだ。(週二回の公開日というとチャンスは確かに少ない)
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大正7年、豊島園の開園者として知られる藤田好三郎がこの地を取得し、邸宅を建設した。
その後、大正12年、安田財閥の創始者安田善次郎の娘婿善四郎が購入し、昭和12年に長男楠雄が相続した。
建物は、伝統的な和風建築の書院造や数寄屋造を継承しながらも、内部に洋風の応接間を設けるなど、和洋折衷のスタイルも取り入れた造りである。
平成7年楠雄氏他界の後、この土地と建物を相続された幸子未亡人と長女美佐子さんが、愛着のある建物を文化財として保存活用するために、平成8年8月、財団法人日本ナショナルトラストに寄贈され、歴史的建造物として修復管理されている。下の画像の正門(表門)などは先月末に修復が完成した。
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門をくぐり玄関先で入館料(維持補修協力金と詠われている)500円を納めて玄関内へ入る。玄関は、江戸時代の大名屋敷に見られた大床(おおどこ)、靴脱ぎ石などの武家様式を採用。ここでボランティアの説明、主に上に書いた邸の歴史の話でR。そして注意事項、壁などを擦ることにならないように大きめの手荷物は預けなければならないし、畳の維持にはかなり気を使っているようで靴下は必須そして畳を引きずらないようにジーンズの裾を折り込むように言われまつ。
下に邸の平面図を示したが、各部屋に説明係がいてその部屋ごとに長い説明を受ける。
( ↓ クリックすると大画面 )
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伝統的な和風建築に西洋の建築様式や技術を取り入れ、玄関から展開する応接部分と奥の住居部分で構成されている。早速、応接室から探検してみる。
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応接室から庭側にはサンルームがあり、赤絨毯の席で庭を眺めながら抹茶をいただくことが出来る。家具や照明器具などの調度品は建築当初のものが現存。飾り柱やサイドボードの扉などには鳥の彫刻が施されている。
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長い廊下を通り「残月の間」に入ると今回公開イベントのメインである五月飾りが待っていた。
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旧安田楠雄邸の五月飾りは、昭和10年生まれの長男のために作られたもので、日本橋十軒店町の名工三代目永徳齋とその工房の作品。今年は昭和でいうと84年だから、この飾りも74年目ということでつな。「残月の間」の床の間の幅にピッタリと収まるオーダーメイドでありまつ。
残月の間の灯り、透かし彫りが施されていて当時のこだわりが感じられ、ツインライトがお洒落でありまつ。
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残月の間の奥には「茶の間」がある。襖で仕切られるように水回りが設置されている。火鉢に一部こじんまりとした床下収納には炭入れになっていて、女中達が台所で作る食事の他に自分たちでお茶を沸かしたりするミニキッチンのようなものであろうな。
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廊下から眺める庭の様子でR。古い木造の壁と柱の濃褐色と木々の緑のコントラストが実にいい。
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さらに奥に進むと台所でありまつ。
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奥の天井にはご覧の通りのトップライトで明るい。中央には銅製の流し台、白いガスコンロ、氷式の冷蔵庫を設置、現代でいうアイランドキッチンそのものではないか。そしてかなりの範囲で床下収納になっておりますた。特に台所入口のそれは(説明係が開けてくれたのだが)結構深いでつな。
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続いてお風呂場。湯槽の周りは石敷になっていて天井も高い。入浴時の湯気は天井裏に抜けるようになっているという。風呂場、化粧室の西奥は仏間らしいが、現在は非公開になっているらしい。
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さて、茶の間の脇の階段から二階に上がりまつ。階段途中の窓は曇りガラスになっているが、一部素通しのラインがあって庭の緑が視界に入るように工夫されている。芸が細かいでつな。
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二階は8畳の予備室と12畳、8畳の客間となっている。
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庭に面した南側の雪見障子とガラス戸を開けると枝垂れ桜などの巨木が目に入る。この窓からは四季折々の景色が味わえるようで、来年の櫻に季節には是非再訪したいものだ。付け加えて、廊下などの壁に設置されている照明のスイッチ、なんともレトロでかつモダンでつな。旧安田邸、他の旧家旧跡に劣らずそこかしこに贅と粋が感じられる建物でありますた。
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お気に入りの風景を一枚。各部屋で力を入れてたガイド抜きでボーッと眺めていたい気分になりますた。
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旧安田邸と道路を隔てた向かい側は千駄木三丁目。蔵があったり、外壁に彫刻が施されていたりお屋敷町の建物は我輩の住処である下町とちと違う。団子坂上ってのも散策に適したエリアだとつくづく。
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おまけに近所にある「須藤公園」に立寄り(旧安田邸訪問の前に訪れたのだが)。想像していたよりもこじんまりとした公園でありますた。
須藤家から東京市に寄付された庭園を生かした公園で、高低差のある台地と低地を巧みに生かした公園斜面地には、クスノキなどの大木が豊かな緑をつくりだしている。またその緑を背景として、滝からの水が流れ込む池には藤棚が設けられている。循環ポンプ式の滝(枯れ滝復元のため)は須藤の滝と銘打たれ高低差10mの滝音が響いていますた。弁財天の社、趣がありまつなあ。
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by anton_ms | 2009-05-05 15:15 | 吟遊詩人の旅
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あのとき掲げた僕らの旗だけが 今も揺れている時の風の中で(the flag)


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